Interview | THE PATS PATS (from Tokyo)前編

THE PATS PATS

「こんな少女漫画から
出てきたようなバンドが
本当に存在するんだ!」
って感激を超えて
泣かれたことがあります。

Member:あきこ(Vo/G) みどり(Vo/B)
Interview/Text/Photo:Ayumi Tsubouchi

あきこ(Vo/G)とみどり(Vo/B)が2011年に結成した、ポップでパンクロックなバンドTHE PATS PATS (以下ぱっつぱっつ)。MILKのふわふわワンピをまとってセーラームーンmeetsラモーンズなガールロックを力強く鳴らす、ふたりのクールな女の子たち。ガール・カルチャーが大好きで、何でも自分たちでやっちゃう逞しいD.I.Y精神を持っているだけじゃない。“女の子がバンドをやること”について真剣に考え闘うその姿は、さながら楽器を持ったセーラームーンという佇まい。さらに付け加えるなら、新世代ジャパニーズ・ライオットガールと呼びたくなるようなガールバンドなのです。私の知る限り、日本のロックシーンにはちょっといないタイプ。大げさな表現ではなく、本当に貴重な存在だと確信しています。

さて、ちょうど1年前、まだアルバムも出ていないにも関わらず、バンド公式フォト&バイオzineとして『Endless Girls Talk』を自主出版で発行。そこで筆者が2万字にも及ぶインタビュー原稿を担当したこともあって、すっかりご紹介していたつもりでいたのですが、実は今回がVAMP! Webでは初のぱっつぱっつインタビューとなります。自主製作盤の新作EPをリリース、セーラームーン・ロック・ファッション・フェミニズムなど共鳴するポイント多数の米ガレージ〜ポップ・バンドPeach Kelli Pop(ピーチ・ケリー・ポップ:以下PKP)をゲストに迎えた自主企画『まんぷくフェスティバル’16』の開催…この秋に2016年最大の山場を越えて、ひと息ついているおふたりを、1年ぶりに直撃。近況・新作・そして、これからについてお話を聞いてきました。バンド結成から2015年までの活動については『Endless Girls Talk』に詳しいのでぜひご一読を。VAMP! SHOPでの購入も可能です。

新曲「Make Up!」は
セーラームーンとフェミを
そのままぶつけている。

−−まずは近況から教えてもらえますか?

あきこ 自分たちで企画主催している『まんぷくフェスティバル’16』を10月に終えて、少しオフを入れていたんですけど、12月からレコーディングを開始する予定です(※現在レコーディング中)。2016年にリリースすることができなかったアルバムはもちろん、2017年のスケジュールについても、年明けの1月には良いお知らせをすることができそうです、という感じですね。

−−それは楽しみです。さて、この秋の『まんぷくフェスティバル’16』開催と当日リリースされた新作は2曲どちらも素晴らしい仕上がりだね。とにかく、キラキラしていて眩しくて。例えば、ラジオから火がついて、ティーンの女の子たちから広がって支持されていくというイメージが見えてくるような歌だと思ったの。普通にラジオから流れてきてほしいと思わずにはいられないというか。

あきこ わー、それはすごく嬉しい。本当に嬉しい。2曲目の「Make Up!」は、2015年のちょうど今くらいの時期にみどりちゃんが持ってきてくれた曲だったんですよ。

−−というと、ぱっつぱっつ初の公式zine『Endless Girls Talk』が出た時期だよね? 私、そのzineでインタビューを担当させてもらったけど、「Make Up!」を初めて聴いた時にその時のことをすごく思い出していたの。

みどり そうなんですよ。作った時は一番の歌詞しかできてなかったんですけど、それは『Endless Girls Talk』でのインタビューで話題にしていた『セーラームーン』のイメージ。で、二番は少し間が空いてレコーディング直前にできたもので、完全に映画『ロミー&ミシェルの場合』なんです(笑)。どちらも“女性が自分らしく生きるのが本当の女らしさ”という自分の中のフェミを勇気づけてくれる作品で、それをそのままぶつけた曲ですね。

あきこ 『Endless Girls Talk』を作っている時には基盤の歌詞やメロディはできていたんですけど、ちょうど(サポート・ドラマーのひとりだった)まーしーさん(現For Tracy Hydeのメンバー)が抜けて、レギュラーで入れるドラマーさんがいなかった時期ということもあり、私がアレンジ作業でちょっと苦戦していて。それでも、その時からメロディも歌詞もいいなって思っていましたね。

−−うん、グッときた。気持ちにスイッチが入る。

あきこ ですよね! 良い曲に仕上げたいという思いがあったし、みどりちゃんの新曲を入れたいという気持ちも強かったし。結局「Make Up!」のアレンジが完成したのは録音の1週間くらい前。本当にギリギリでした(笑)。で、そうやってアレンジをやっていた頃、みどりちゃんから『ロミー&ミシェルの場合』を借りて観ていたんですよ。これ、去年(2015年)アユミさん(筆者)と一緒にやった『Girls meeting』というイベントの時にトークショーの後ろで流していた映画で、みどりちゃん的にはずっとあったイメージ・ソースでもあったんですよね。私は初めて観たんですけど、観たらハマっちゃって、毎日のように鑑賞していました(笑)。あれは、観ると気持ちがすごくあがる。主人公の女の子ふたりが「洋服を自由に買えないなんてかわいそう」って会話するシーンがあるんですけど、そのふたりは“何よりもオシャレ”、そう、“自分のためのオシャレ”を重要視するんですよ。ハイスクールのプロム・パーティに攻めの洋服を着て行って、スクール・カーストの上層部にいる女の子たちから「何あの下品なドレス?」ってバカにされながらも、本人たちは「私たちって最高にクールじゃない?」って言っているし、好きな男の子にフラれても、誰のためでもなく、やっぱり自分たちのためにオシャレをしていて、「自分たちは最高!」と言っているという。映画のそんなストーリーとみどりちゃんの作った「Make Up!」がめちゃめちゃリンクしていって。

−−最高すぎる。

あきこ ね! 私たちが何かと引き合いに出している『セーラームーン』って変身の時に「メイクアップ」って言うでしょう? だから、「Make Up!」は文字通りの“メイク”が “変身”というキーワードにつながっていくんですけど、そういうこともイメージに入れてアレンジしました。簡単な曲だけど、自分としてはギター・ソロから二番の入りの部分が気に入っています(笑)。

−−あっこちゃんの言葉を借りると、本当に“イケイケ”な曲、だよね。

あきこ&みどり あはははは!

“蔵練”がバンドの芯を
さらに固めてくれた。

−−新曲はどこまでもぱっつぱっつな曲でありながらも、バンドの新しい風を感じる部分もあるという。今回はそこに注目しているのね。とにかく、フレッシュ。

あきこ なるほど、嬉しいです。うん、そうかもしれない。

−−次の世界を見ている視線を感じるというか、新たな扉を開けようとしている空気感があって、今回はそれが何なのかを探るためにインタビューをオファーさせてもらったと言ってもいいくらい。心境の変化なのか、環境が変わろうとしているのか…何かしらあったのでは、と察しているのだけど、その辺はどうだろう?

あきこ なるほど(笑)。去年はバンドをやってきている中でも、特にすごく忙しい年だったんですよ。単純にライヴをたくさんやったり、3人のドラマーと“ドラム・メイツ制度”をやっていて、月に3回ライヴやっても3回とも違うドラマーで演奏していたとか。ぱっつぱっつを始めてから少しずつ外へ外へと出ていくようにしていて、できるだけライヴをやってきたし、アコースティック・ライヴにも挑戦して、とにかくオファーはわりと何でも受けていたというか。2015年はそういう1年だったんですけど、2016年は年初めにちょっと休んでいたからか、ちょっと変わってきていたよね?(とみどりに)

みどり うん。2015年は気持ちが外に向いていて外へ向けた活動を軸にしていたから曲作りができなかったんですよ。でも2016年はちょっと内側を向いて、自分たちのことを前に進めていこうみたいなところはあったかもしれない。

あきこ そういう姿勢でやってきたことが、少しずつ実になっている気がしていて。2016年の前半は(“ドラム・メイツ”のひとり)はるさんと練習に入っていたけど、その後(新サポート・メンバーとして加入した)コータローくんとコンスタントにスタジオへ入れるようになったということは結構大きかったと思う。

−−うんうん。

あきこ 最近コータローくんちの蔵で練習しているんですけど(笑)、コータローくんの実家って蔵があって、そこが秘密基地のような素敵な空間になっているんですよ。

−−何と。

あきこ コータローくんと私は、実は地元が同じで、ふたりともめちゃめちゃ小さい町の生まれなんですけど、最初はぱっつぱっつとランランランズのドラマーとして知り合ったんですよね。コータローくんの妹さんのだんなさんがエンジニアということもあって、その蔵はエンジニアさんが監修・改造したガレージに…そう、外国の映画に出てきそうな素敵な空間になっていて。私たちは最近月に一度はそこで1日中練習を重ねているわけなんですけど、早朝から行くと、(コータローくんの)お母さんが朝採れた野菜を使った朝食をまず出してくれて。

−−ええーっ♡

あきこ (笑)コータローくんとお母さんと4人でお話をしながら朝食を食べて、3時間くらい練習して。で、「休憩しようか」ってうちらが言っていると、お母さんが今度は自家製梅シロップのソーダ割りと美味しいフルーツ・ゼリーを出してくれて、その空間にはさらに猫もいるみたいな(笑)。

−−憧れる。

あきこ (笑)メンバー3人で畳の上に横になって休憩して、また練習を再開する…みたいな。そういう感じでやってきている影響もあってか、以前より対外的な評価があまり気にならなくなってきていて。そういう積み重ねで精神的にも良い影響をうけているみたいで、今ではもう「自分たちのやっていることは最高じゃん!」って感じですよ。

−−素晴らしい。そこ、映画『ロミー&ミシェル』にも通じるところだね。

あきこ ですね! 例えば、ツイッターでどれだけRTがあるかとか、そういうのはどうでも良くて、「自分たちのやっていることって最高!」っていう自信があるからこそ、落ち着いて活動できるという。と言いつつリツイートしてくれる人はめっちゃ好きで、どんな人だろう!ってアカウント見に行ったりしていますけどね(笑)。

−−芯がより太くなってきたんだね。

あきこ 去年との違いって、もしかすると、そこかもしれない。

インタビュー後編へ続く