Interview | THE LET’S GO’s ① -私がレッツゴーズ! 2017年編

Interview | THE LET’S GO’s ① -私がレッツゴーズ! 2017年編

THE LET’S GO’s

Member COCO(G/Vo)
Interview/Text/Photo Ayumi Tsubouchi

レッツゴーズは、
私が生きている限り存在します!

みなさん、4年ぶりですよ! ガールズロックンロール~パンク界のカリスマ、ニッキー・コルヴェットのジャパン・ツアーが6月20日からスタート♡  今回も前回の来日公演と同様、日本のロックンロールバンドTHE LET’S GO’s(レッツゴーズ)ががっつり帯同、国内を一気に横断します。ニッキーのバックバンドを務めるのも、前回と同じ、レッツゴーズ。初夏の一大ロックンロール・パーティがついに開幕しますよ。くどいけど、いよいよです。

…と、その前に。

ニッキーの妹分のような存在、“ロックンロールガール”ココ(Vo/G)率いるレッツゴーズの、気になっていた“アレとコレ”について整理しておきましょう。「今回もバックバンドを担当」と言っても、去年(2017年)リズム隊が抜けるというダイナミックなメンバー脱退劇を余儀なくされたレッツゴーズ。前回から変わらずに参加するのは唯一のオリジナルメンバーであるココのみ。現在ココ以外は男性メンバーで構成、つまり男性メンバーがリズム隊を務めています。「えっ、レッツゴーズって女の子3人バンドじゃなかったっけ?」と思った方も、“あの時の急展開”に驚いた方も、以下のインタビューを読んでスッキリしていただけたら幸いです。

去年から今年にかけて山あり谷あり。激動の1年を乗り越え、まさに飛躍の1年を只今躍進中。ニッキーのジャパンツアーにおいてはニッキーと並んで主役を担うレッツゴーズ。その中心人物であるココのソロインタビューからスタートするとしましょう。ココ、ミィ(B/Vo)、山田モエコフ(Dr)。このラインナップでのレッツゴーズ最後のライヴを、ギターウルフのセイジが主催する『シマネジェットフェス』(2017年)のステージで終えた3日後に行なったインタビュー。まずは“あのナゾ”から紐解いていきますか。

ずっと誰が切り出すかという状況だった

⏤2017年10月7日で、ミィちゃん(B)、山田モエコフちゃん(Dr)、ココちゃんというラインナップでのレッツゴーズの活動が終わりました。今の率直な感想を聞かせてください。

COCO そうですね…この3人での最後のステージではあったんですけど、よい意味でいつも通りでしたね。ぶっちゃけて言うと、最近のライヴは何度やってもいつも楽しくて。“終わり”が決まっていたからこその楽しさだったのかもしれないけど(笑)。

⏤うんうん。

COCO 正直なところ、これまでバンドをやっている中で、苦しい気持ちになってしまうことって結構あったんですよ。でも、そういうのも全部吹っ切れて肩の力も完全に抜けた状態で、とにかく“その瞬間を楽しむ”ことに集中して演奏できていたのが、無条件に楽しかったですね。だから、最後も、特に特別なことがあったわけじゃなくて、本当にいつも通り。そして、いつものライヴと同じように楽しくやった。そして、終わったという感じですね。

⏤なるほど。ここんところのライヴは、炎に包まれているようなアツいパフォーマンスで、毎回目を見張る内容でした。そんなエネルギーに満ちたライヴをココちゃん本人も楽しさを感じていながら、この3人での活動に終わりがくるなんて。「なぜ?」って、私はまだちょっと信じられないところもあって。自分でも「もう少しやりたかったな」という思いが頭をよぎることはなかったですか?

COCO 後悔の気持ちってことですかね? うーん、確かにもったいないなっていう思いはありましたね。この3人でピタッと音が合った時の気持ち良さとか、空気感とか、最強だなって思っていたから、「もっと!」って思った瞬間も正直なところあって。そういうのってすぐに生まれるものじゃなくて、ずっと一緒にやってきてようやく生まれるものだし。でもね、そこに行き着くところまで一緒にやってこれた。それが何より良かったって。今はそんな心境です。

⏤前回のインタビューはアメリカツアーから帰国して間もないというタイミングで、3人揃った状態で行なったのだけど、その時に「ぶっちゃけいつ終わってもおかしくない状況ではあるけど、それでもレッツゴーズをやっていくんだ」と断言しているのをとても頼もしく受け止めていて。それが今回の結論に至るまで、本当にすぐだったので、とても驚いています。

COCO うーん、そうですねえ…。

⏤少しの衝撃ですぐにその関係性が破綻しそうで、ギリギリのところでバランスを保っているからハラハラするような緊張感がレッツゴーズには常にあって。ただ、それでいてライヴは面白いし、実際パフォーマンスも最高だったわけなのだけど。

COCO …へえ。

⏤良いとか悪いとかではなくて、そういうモチベーションでバンドをやっていくのもありだと思うし、事実面白かったんですよ。メンバーはむしろ、その絶妙な緊張感を楽しんでいるんじゃないかと思ったこともあるくらいだったし。だけど、それにしても、本当に終わりにしてしまう時期が思った以上に早かったという…(苦笑)。

COCO そうですねえ…(苦笑)。今後の計画も立てようとしていたんですけどね。でもこれ、最初に切り出したのがミィちゃんで。ミィちゃんって性格的にもバンドのことを一番俯瞰で見ることのできる人、そして周囲に対する気遣いも一番できる人なんですよね。2016年も楽しく活動できていたけど、その反面で悩んでいることもたくさんあって。で、7インチ(「カレンダーガール」)ジャケの撮影が終わった帰り道、「今決まっているライヴが終わったら辞めようと思う」と。

⏤というと、時期的にはいつ頃だろう?

COCO 2017年の2月かな?

⏤えええっ!

COCO そうなんですよ。(前回のアメリカツアー終了後の2016年)年末に(VAMP! webで)インタビューしてもらった頃は雰囲気もまだ良かったんですけど、年明けからまたちょっと張り詰めた空気が生まれていて。でも、確かに両方の感情がありました。「もうこれで本当に辞めちゃうんだ」っていう気持ちと「これをきっかけにみんなが張り詰めた状態から解放されるかな」っていう安心感の両方がね。でも、“それ”ってもう誰が先に切り出すか?みたいな空気感はずっとあったので、ミィちゃんが勇気を出して言ってくれたようなものなんですよ。

⏤メンバー間の中では、来るべき瞬間が来たくらいの感じだった、と。

COCO …そうですね。

3人の未来を楽しみにして
もらえるような形で終えたかった

⏤モエちゃんのリアクションはどうでしたか?

COCO ミィちゃんがニーハオっていうバンドを別でやっていたこともあって、何となく察していたところもあった思う。ミィちゃんがいずれいなくなってしまうだろうってことを。例えば「カレンダーガール」の歌詞ってミィちゃんが書いているんですけど、歌詞の内容も旅立つことを歌っているし。

⏤ えっ! そういう意味での、あの曲だったの?

COCO 具体的に聞いたわけではないので、実際のところはわからないです。ただ、そういう気持ちが少なからずあったんじゃないかなって、私が思っているだけで。

⏤ミィちゃんが切り出したあと、3人で話し合うこともありましたか?

COCO うん、すぐ、その場でね。モエちゃんは「この3人で成り立っているレッツゴーズだから、メンバーがひとりでも欠けるなら私も抜ける」という感じでしたね。ミィちゃんなしでやっていくのは無理だって。

⏤ふむふむ。それで、その時点で決まっていたライヴが2017年の秋までだったと。

COCO その時は秋までというのはなかったかな。ミィちゃんも自分だけが抜けるというつもりで、後任が入るまではいるよって感じだったのかも。結果的にふたりがやめることになったので、そこから具体的な話をしていって。その時は終わりを夏にしようと言っていたけど、ちょうどその時にギターウルフのセイジさんから『シマネジェットフェス』のお誘いをいただいたんですね。で、まあ、3人全員が「それだけは絶対に出たい!」と(笑)。だから、そこをラストにしようということで決まったんです。

⏤セイジさん、絶妙なタイミング!

COCO いや、ほんとそうなんですよ(笑)。

⏤ジェットアンテナが発動したんだね(笑)。じゃ、当日はセイジさんに見守られながらこの3人でのレッツゴーズを締めくくったわけですね。

COCO ははは! そうなんですよ。

⏤この3人ではどのくらい一緒に活動してきたのだっけ?

COCO 7年くらいかな。それだけ長い間一緒にやっているので、ふたりのためのラストライヴをやるのが普通かなとも思ったんですけど、そこはあえてせずに。みなさんへお知らせする発表のタイミングもどうしようかと考えたんです。「このバンド、もう終わってしまうんだな」と思われながらライヴに来ていただくのはこちらも複雑な気持ちになるし、できれば明るい気持ちのまま、できればみなさんに夢を与えるくらいの状態のままラストを迎えたいという思いがあったので、アナウンスはギリギリにしようと。理想を言えば、3人の未来をみなさんに楽しみにしてもらえるような形で終えたかったんです。それで、(2017年の)8月下旬に発表しようということに。

Thanks you Attractions!

これからは私自身がレッツゴーズ!

⏤確かに、突然アナウンスがあって、アッという間にラストライヴを迎えたという印象はありました。そして、言われてみると、それって、確かに3人っぽい終わり方だったかもしれない。だけど、ファンのみなさんはそうもいかなかったんじゃないですか?

COCO 悲しむ声も多かったですね。そういう声を聞くたびに「ごめんね」っていう気持ちになっていたんですけど。でも、身近な人やバンド仲間からは「よく頑張った」って声を結構かけてもらったり。でね、一緒にスプリット盤をリリースしたことのある北海道のパンクバンド、ノッカーズは元メンバーが25人いるんですよ。

⏤…んん?

COCO メンバーだった人が25人(笑)。90年代からずっと活動しているバンドなんですけど、そうやってバンドを長くやってきた人たちもいるし、ロリータ18号やジェットボーイズもそうだし。

⏤あ、なるほど(笑)。

COCO これまでレッツゴーズは三つ巴みたいな感じでやってきたけど、これからはオリジナルメンバーの私=レッツゴーズとしてやっていこうと心を新たにしているところなんです、今。これまでほかのメンバーに頼ってばかりいたけど、「私自身がレッツゴーズなんだ!」ということを噛み締めながらしっかりやっていこうと。

⏤ん、あれ? だけど、ココちゃん=レッツゴーズという図式はもう結構前の段階からそうなんだと思っていたけど(笑)。というか、ここに来て、“そこ”をココちゃんが自覚したということなんでしょうかね。

COCO あ、そうですね。外からの印象というのは、曲作りと歌を担当するのが一番多い私=レッツゴーズというイメージがあると思うんですけど、実際のところ、私があまりにも頼り甲斐がなかったんですよね(苦笑)。あらゆる面で、ほかのメンバーや元マネージャーのTONGちゃんに助けてもらっていたという状態で。そういう支えがあってこそのレッツゴーズだったんですけど、これからはもう、良くも悪くも、自分の力でバンドの舵取りをしていくぞ、という。

⏤おお! これまでは“ココちゃん=レッツゴーズ”という外からのイメージとココちゃんの中での“女の子3人でレッツゴーズ”という意識にちょっとズレがあったかもしれないね。でも、今はココちゃんの“こうありたい”というイメージと意識が、ようやくフィットしたということなんですね。

COCO まさに。そうなんです!

⏤最近のどんどん精力的に活動をしていくココちゃんを見ていて、その決意みたいなものをすごく感じます。何だろう、嬉しい。もう、ちょっとした親心かな(笑)。

COCO わはは。たぶん、今回のようにメンバーが「抜けたい」ということを、アメリカツアー前のタイミングで切り出していたら、きっと「どうしよう…」ってすごく落ち込んだと思うんですよ。でも、さっき話したように気持ちの切り替えができるようになって、「私ひとりでも行ける!」って確信したあとのタイミングだったから、ふたりが脱退するということになっても、本当に素直な気持ちで「これまでありがとう!」って見送ることができたというか。自分自身が「自分ひとりでもレッツゴーズとしてこれからやっていける!」って、さらに腹をくくるタイミングになったと思う。だから、改めてよかったなって。

自分の持ち味をようやく自分で理解した

⏤ココちゃんがそうやって腹をくくるまでというのは、“こうありたい”というイメージにマインドがフィットしていないなーというようなことを、自身でも感じていたりしていたんでしょうか? ジレンマを感じることとか。

COCO  そう…まさにそうで。過去に周囲から「あなたが一番しっかりしなきゃいけないのに!」って言われて続けていたから(苦笑)。そんな風にストレートに言われると、性格的に余計萎縮してしまうんですよね。だけど、アメリカツアーでは、そんな私でもバンドの中で一番英語でコミュニケーションを取ることができたり。そういう経験の積み重ねから、「自分のできることって、実はこんなにたくさんあったんだな」ということに気づいて(笑)。それからですね、考えること、行動することが、バンド内業務の中で増えていって、自信がついてきたんですよ。そしたら、「あ~、案外自由にやってていいんだ」って気づいて(笑)。それまでは、みんなの求めている答えを、自分で当てにいかなくちゃって躍起になっていたと思う。

⏤ははは、なるほど。その「自由でいいんだ!」っていうココちゃんの中での答え? それは「ココちゃんがココちゃんとして胸を張っていればいい」ということだったのかな? ココちゃんはすでに持っているものを「どこだろう?」って探しに行っていた感覚だったんでしょうか。

COCO ははは(笑)、そうかもしれない。

⏤この7年で、とても重要なモノを手に入れたわけですね。その意識があるのとないのでは大違いだものね。

COCO そうなんですよ。

⏤例えば、ギターウルフのセイジさんやジェットボーイズのオノチンさんが「ロックンロール・ヒーローとは?」って探し求めて彷徨うことってないと思うのだけど、そういうのと結構似ているんじゃないかと。

COCO わははは! そうなんですよ。私も自分自身で“そのままでいい”ということをわかっていなかった。自分があのおふたりのようなカリスマ性があるとは思ってはいないけど、かなり大きくわけると“そっちのグループ”にいる人間なのかなって。自分の持ち味について、ようやく理解できるようになってきたみたいです(笑)。

⏤結成して何年になるのだっけね?

COCO 10年です!

⏤お願いしますよ(笑)。

COCO(笑)今、つくづく実感しています。

どんな形態でも、

自分の楽しいと思うことを自由にやる

⏤最近はひと皮剥けたココちゃんの音楽活動が目覚ましいですね!

COCO これまでレッツゴーズのメンバーとしてしかやってきていなかったんですけど、他のバンドの人たちと音楽をやれるのは、もしかして今だけかもしれないと思って。とにかく、面白そうだなっていろいろやっています。今日お話したように、私自身の“あるべき姿”と自分のマインドがここにきてようやく一致したというところで、これまでのレッツゴーズのカタチだけにこだわらなくても、私が私の好きな音楽や活動を自然なカタチでやっていけばいいんだって気づいたということが大きいですね。バンド形態でも、ソロの弾き語りでも、ほかのバンドの方たちと何かをやるにしても、楽しいと思うことを自由にやろうって。最近は良いタイミングでいろいろ声をかけてもらったり、自分からやりたいって伝えて叶えさせてもらったり。とてもいい感じです!

⏤レッツゴーズとしては、これからはサポートメンバーを迎えて当面活動していくんですね?

COCO ですね! 元THE PORTUGAL JAPAN(ポルトガルジャパン)のチェリーさん(Dr)とThe Fadeaways(フェイダウェイズ)のトヨゾーさん(B)とやることになっています。2018年もいろいろやりたいですね。ニッキー(コルヴェット)もまた日本に呼びたいし!

⏤今は兄さん方ががっつりバックについているけど、レッツゴーズは女の子3人バンドとして継続していきたいという思いは、やっぱり今も根底にありますか?

COCO ですね! ただ、メンバー次第ですね。男性メンバーだとしてもコーラス問題がクリアになるのであれば、それもアリかなと思うし。(チェリーとトヨゾーの)おふたりは忙しい方なので、サポートメンバーという感じになると思うんですけど、これからスタジオに入ってみてどんな感じになるのか、楽しみです。

⏤その後、レッツゴーズにティーンガールが加入することがあったら最強だね。

COCO ははは。ラモーンズのように、メンバーが変わってもレッツゴーズと言えばこのスタイル!というものを確立していければ良いですよね。これまでの3人とも年月をかけてバンドになっていくという感じを実感しながらやってきたので、そういうものを一緒に築き上げていくことのできるメンバーを探していきたいと思います。

⏤では、最後にみなさんにお伝えすることはありますか?

COCO これからどうなっていくのか? そこは自分でも未知なところでもあるんですが(笑)、レッツゴーズは私が生きている限り存在するので心配しないでね!

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