Interview | THE LET’S GO’s (from Tokyo)④

Interview | THE LET’S GO’s (from Tokyo)④

THE LET’S GO’s

いつなくなってしまうかわからない。
そのくらいのヒリヒリ感があってこそ、
バンドは輝きを増すもの。
だから、レッツゴーズも
これでいいんだって気がしている。

シリーズ4回にわけてお届けした今回のレッツゴーズ・インタビュー、いよいよ最終章。

Member COCO(G/Vo) Mie(B/Vo) 山田モエコフ(Dr/Vo)
Interview/Text/Photo Ayumi Tsubouchi(except US tour photos)

これまで石橋を
叩いてきすぎたのかも。

−−全公演をやり終えて、どんなことを思う?

COCO 私はまた行きたいですね。これまでThe Coathangersやニッキー(コルヴェット)と一緒に日本国内でツアーした時、私たちがすべてのお世話をしたわけではないにしろ、ホストとしてゲストを迎え入れる気持ちでやってきたんですけど、今回はその逆でDanger Signsがホスト役を担って私たちがゲストという形でツアーをやらせてもらって。例えば、ジャパン・ツアー中ニッキーやThe Coathangersにやってもらって嬉しかったことを思い出しながら、(ダンたちに)何をしてあげられるかな?ってずっと考えていたんですよ。そういう風に(実際に自分が)やってもらったことを返していくことができるという、過去のツアー経験が今回のアメリカ・ツアーに繋げられたということもすごく嬉しかったですね。

−−うんうん。

COCO ニッキーが来日した時に私たちはニッキーに「ユー・アー・ゲスト」って、そしてダンたちは私たちに「君たちはゲストだから、何もしなくていいんだよ」って言ってくれたんですけど、ただ、ニッキーは「私たちはチームだよ」とも言っていたんですよ。私も今回のアメリカ・ツアーでは、(ニッキーの)その言葉を意識するつもりで“仲間”だという認識で動いていて。言葉も通じなければ、行ったこともない土地のわからないことだらけの中で、人のありがたみを感じない瞬間はなかった。メンバーがいるということもそうだし、お客さんや助けてくれる人たちがいるということすべてに感謝でした。本当に行って良かったです。そして、ダン率いるDanger Signsが来年(2017年)秋に、またダンはその前に別バンドM.O.T.O.としても来日するので、そこで恩返しをできたらいいなと思っています。

−−良い話。そうやって次へ次へと繋がっていくね。

ミィ ですね。あとは、何でも良いから動かしてみるということの大事さを今回知りました。結果や先が見えないものに対してもまずやってみる、一歩踏み出してみることが大事。そうすれば、良くも、悪くも、前へ進むんですよね。アメリカへ行って良かったとつくづく思いました。純粋に楽しかったし、正直アメリカから帰国したら(レッツゴーズは)終わるかなってツアーへ出た時には思っていたんですけど、実際に行ってみたらいろんなことが見えてきて、これまでの自分はすごく小さいことにこだわっていたんだということに気づいた。それって日本が狭くて、アメリカがデカいっていう土地の差なのかな? 日本は土地も狭いし、狭い場所に人が密集しているという環境だからなのか、(小さなことへのこだわりがあるって)しょうがないのかもしれないなって、ちょっと引いた目で捉えられるようになったというか。そういう視線を持てるようになったことで、前以上に人の目が気にならなくなったというか。

−−アメリカの人たちの自由な表現方法を目の当たりにして(笑)。

ミィ うんうん。自由、すごく自由(笑)。楽しかったし、また行きたいし、さらにやりたいことも増えました。アメリカ行くっていう、やってみたいけど、やれてなかったことが、こうして達成できたので、他にやってみたいと思っていることもきっとクリアできるなって自信につながったというか。

COCO なせばなる、だね。

−−本当だね(涙)。

ミィ 実際そこまで大したことじゃなかったんだろうけど、踏み出さなかったことは良くなかったなと。

COCO  たぶん、うちらはマジメすぎるんだよね。

−−石橋渡るのに石橋を入念に叩いて渡るようなスタンスだったのかもしれないね? ひと皮剥けた、今の3人を見ていると。

COCO うんうん(笑)。

どこまで剥けて、
どこまで芯が残るか。

−−今はええいっ!っていう勢いと自信を感じる(涙)。それは、今回の新作「XXXX」もそうで。レッツゴーズ、どこへ…いや、どこまで行っちゃうんだろうって頼もしく見ています。

ミィ わけわかんないまま進んでみるのも良いんじゃね?みたいな。

−−いいね。先がわからないからこそ、あえてそこに挑む大切さというのもあるよね。

ミィ アメリカから帰国してフェスやイベントに連続して参加して、久しぶりに知っている人たちに会うと、みんなすごく頑張っているんですよ。そうやって頑張っている人たちが私たちのアメリカ・ツアーのことを知っていてくれて、「頑張っているね」って言われると、さらにモチベーションが上がる。

−−そういう連鎖って素晴らしい。

ミィ だから、たくさん面白いことをもっとやりたいっていう気持ちが高まっています。

−−ついこないだ、「バンドを辞めてしまうかもしれない」って考えていたのが嘘のよう?

ミィ ですね。ただね、「バンドを辞めてしまうかもしれない」って言っていたことについてなんですけど、私は辞めなさそうなバンド、というか、「このままずっと続けるんだろうな」という安心感のありすぎるバンドってそれはそれで良くないと思っているんですよ。このバンド、いつなくなってしまうかわからない。そのくらいのヒリヒリ感がないとあまりカッコ良くないんじゃないかなって。

−−もう“やるかやられるか”くらいの気迫がないと。

ミィ そう。そういう状態にあってこそ、初めて輝きが増すというかね。生きてて変化しないなんて嘘だと思うから、レッツゴーズもこれでいい気がしています(笑)。

全員 あはははは。

−−今の表現ってレッツゴーズのライヴですごく感じる。“やるかやられるか”みたいな、ギリギリのパフォーマンスが最近はもはや笑えてしまうほどに、そして“すごい”を超えるレベルになってきているよね。では、最後に新作についてお話を聞いていきましょう。4曲入りの自主制作シングル盤「XXXX」は4曲4様の内容だね。これはアメリカ・ツアーへ行くということで製作された音源だよね?

ミィ アメリカ・ツアーへ行くに当たって、物販の価格設定の相場を考えると新たに用意した方が良いかなという話をしていて。そこでシングルを製作しようということになって、ココスが頑張って曲を書いてくれて。最初は3曲の予定だったんだよね?

COCO そうそう。

−−パンク色が色濃く出ているね。

COCO そうですね。私がそういう気分だったのかな?

ミィ 期限が決まっていたからもうパンパンパンって作って、じゃ、やろうみたいな感じだったんです。もう選択肢のない状態で、今回はボツになった曲もないので(笑)。

−−そういう状況で作られたからこその勢いなのかな。バラエティに富んでいるのは気持ちががっつりツアーに向いていたことを表わしているようだね。

ミィ 勢いには乗っていたね、たぶん。リアルなスピード感が曲に表われていると思う。わああああああーっみたいな(笑)。

COCO (春から国内で)ツアーをずっとやっていて、曲を作りたいけど作れないという状況が長かったので、満を持してようやく曲を作るべき時が来た!みたいな感じで、集中してガッと曲を作って。その時に思っていたこと、曲にしたかったことを詰め込んで、気持ち的にスッキリしましたね(笑)。

−−その“思い”というのはどういうものだったんだろう?

COCO そうですね。「I Like Your Band」は単純にカッコいいバンドのライヴを観て、もうグッと来すぎて本当にどうしていいのかわからなくなるような気持ち? それをそのまま歌にしたという。歌にしているけど、歌の中でもやっぱり「言葉では言い表せない」と言っているんですが(笑)。もう1曲の「Baka Nan Da Ze」は「馬鹿だ」「馬鹿だ」っていっぱい言われていて(笑)。

−−ええっ、どなたに?

COCO (ミィを見つめる)

ミィ ええっ? こっち見ないで〜(笑)。

−−メンバー間でのことだったのね(笑)。

COCO はい(苦笑)。外部対レッツゴーズじゃなくて、私個人です、バンド内での(笑)。

全員 わはははは。

−−ココちゃんにお馬鹿キャラのイメージはないけどね?

ミィ 外に対してはね(笑)。

COCO これまではそう言われることを悪いものとして捉えていたんですけど、いろんな人に出会って気づいたんです…あ、歌詞のフレーズそのまま言っていますが、私自身、馬鹿な人が好きなんですよね(笑)。

−−(笑)。

COCO 好きな人も、憧れる人も、みんな馬鹿で(笑)。それは“頭が悪い”と言っているわけじゃなくて。

−−リスペクトとしての“馬鹿”というような?

COCO そう!

ミィ “馬鹿”っていう表現も、その人の良さを形容している、という?

COCO そうだね。これまでの自分に向けて歌っているところもあるし、まだ自分のことを馬鹿だと気づいていない人や認められないでいる人に「最高だよ!」って応援している気持ちも入っていて(笑)。私は、前向きな内容として歌っています。レッツゴーズがアメリカへ行こうとしてこれまで行かなかったこととか、石橋を叩いて渡ろうとしていたということとか。「どうせ考えてもわからないんだから、もうやっちまえよ!」みたいな、そういう感じですかね。

全員 あはははは。

ミィ そして、その「Baka Nan Da Ze」の歌詞を読んで、私とモエちゃんは「何を言っているんだ?」ってこぼしながら、ちょっとイラっとしたり。

−−ええっ(笑)。

ミィ そして、「Ki Ri Ga Ne Yo」という曲を作って(笑)。

−−3人のコンビネーション面白い。

全員 わははははは。

ミィ 「Ki Ri Ga Ne Yo」の歌詞は自分自身にも言っていたり、何かしらの思いを持っていながら涼しい顔をしている人っているじゃないですか(笑)。「他人は悪いけど、自分は悪くない」みたいな。でも、そういうあなたもそういうところもあるよって。これは自分も含めてのことなんですけど。そういうところを認めないと前へは進めないよって。単純に潔いパンクっぽい曲を作ってみたくて完成させたナンバーです。

−−ミィちゃんはもう、曲を作るたびに剥き出しになっていくね。

ミィ もう剥き出しにしていきたいですよ。うん、まだまだ、もうひと皮!と思っています。

−−まだまだ剥けていくね。

ミィ わはは。どこまで剥けて、どこまで芯が残るか(笑)。

−−いい勢いだと思う。その“やっちまいな”スピリット。

全員 やっちまいな(笑)。

−−そういう潔いカッコ良さがぐいぐい出てきているし、同時に突き抜けたスゴさが可笑しさに転換され始めてきていて良いね。それを私は“ジェット感”と呼びたい。

ミィ めっちゃ良いヤツが来たよ(笑)。

−−ところで、2017年はどういう感じで考えている?

全員 あ〜〜〜!

−−あれ、今も2〜3ヵ月先までしか予定を立てない感じ?

ミィ それが! アメリカから帰国してめっちゃ計画を立てているんですよ(笑)。ただ、まだ内緒のやつが多いよね? 未定な内容がほとんどですけど、またアメリカへ行きたいし、ほにゃららさんともツアーをやりたいし…。

−−アメリカからどなたかが来日する? 歌姫が来る?(笑)

全員 あはははは。

ミィ 全然やりたいなと思っているだけで、まだ何も決まっていないんですけどね(笑)。これまではトンちゃんが計画してくれていたけど、今は3人が過去にないくらいの勢いで計画を立てています。

モエコフ 今のこの計画性、奇跡的だよね。今回のアメリカ・ツアーは気持ちが湧き上がってくるような有意義なツアーだったということだよね。今いろいろ計画をしていて、決まり次第発表していくので、今後をお楽しみに。

 

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