Interview | モテギスミスバンド

Interview | モテギスミスバンド

“くそったれ”は見隠れするくらいがいい

――では、デビューアルバム『ちぎったわたし』について聞かせてください。内容としてはバンド結成から1年半の集大成という感じでしょうか?

モテギ はい、全部捻り出しました(笑)。活動期間が短くて曲数が多くないから、できる曲はもうすべて収録しました。

――聴けば聴くほど面白みが増す、スルメ的な作品ですね。パンク、ニューウェイヴ、フォーク、オルタナ、ロックンロール、ロックステディ…さまざまな要素が入っていて“ロック”のひと言では言い尽くせない音楽性ですが、ご自分ではモ・バンドをどのように表現します?

モテギ 難しいですよね…そうだな、心がお祭りバンドって感じでしょうか。音楽的に暗い面もあるから“心が”を足しました(笑)。

――ライヴを観るとそのフレーズがさらにしっくりきます。モ・バンドは静と動の振り切り方が、特に見事ですよね。静かなフォークからのパンクロックみたいな。爆発力があって、音源以上にライヴが良くて!

モテギ “パンクバンド感”は思春期に聴いていた銀杏BOYZがやっぱり効いているのかな。私、根はパンクなんですよ(笑)。根っこにあるのはパンクなんですけど、自分がパンクバンドをやろうとするといわゆるパンクバンドにならない。自分にできるロックバンド、パンクバンドの形が、今のモ・バンドということなんでしょうね(笑)。

――これまでのお話の点と点がつながる感じはありますね。

モテギ 思春期特有の鬱々とした気持ちとか、ため込んでいた感情が音になってバンって出ているイメージですかね。そこがたぶんパンク!みたいな反骨精神につながっているのかなって。

――「くそったれ」みたいな?

モテギ 「くそったれ」を丸出しにしてカッコ良く見せることが私にはできないので、そこは少しオブラートに包みながらね。歌詞や何かの拍子に「あれ、これが“くそったれ”のことだったのかな?」って見え隠れする感じがちょうど良い。はい、これからも小出しにしていきたいと思っています(笑)。

――楽しみにしています(笑)。と同時に、モ・バンドの音楽は映画を観ているような世界観も持っていますよね。聴く人によって解釈の仕方が何通りもあるというような。

モテギ ああ、そういうのは目指していますね。あと、小さい子どもたちのトラウマにしたくって。

――ん?

モテギ 小さい頃に読んだ昔話や童謡って大人になって改めて読み直すと、その意味が理解できて怖くなるってこと、結構あるじゃないですか。人に精神的なトラウマを残したいということではなくて、何気に口ずさんでしまうけど、よく考えてみると、「これ、どういう意味だろう?」みたいな。そういう心の展開を目指しているようなところはある。曲作りをする上でも、耳馴染みの良いメロディとちょっと引っかかる言葉を意識しています。

――随所にちりばめられていますよね。「レ・バー」は歌詞にもパンチがあるし、パンクだし。

モテギ 「お金があれば…」ってしっとり歌われてもキツいですもんね(笑)。

――モ・バンドのパンクナンバー、「レ・バー」はMVもありますね。映像としてどういうイメージがありましたか?

モテギ 『ちぎったわたし』を出す前に3曲入りのデモCDを150枚限定で販売していたんですけど、完売したらみんなで焼肉へ行こうってメンバーと約束していて。それがちょうど「レ・バー」のPVを撮影する時期に完売したんですよ。「レ・バー」って歌詞に「お金があれば…」というフレーズが繰り返されているし、みんなで豪遊している感じを出そうと。あ、でも、あれは焼肉じゃなくてジンギスカンだったけど(笑)。まあ、それでジンギスカンをしているところを撮影してもらいました。

――ワイワイ感が微笑ましいです。

モテギ 初めてのMVだからメンバーのラブリーでプリティな部分を前面に出したかったんです。バンドとしてのメッセージ性も大事だけど、バンドとして音を出す、それ自体が楽しいということを改めて見直したくて。これまでバンドをいくつか経験してきて行き着いた感覚なんですけど、バンドやっているといろいろあるじゃないですか。演奏やライヴをすることが楽しくて始めたはずが、喧嘩しちゃったり。それで初心に戻って“バンドの楽しさ”を映像で表現したかったというのはありますね。その結果、あのワイワイとしたビデオになりました。

――モ・バンドについてはメンバーそれぞれの持ち味をぶつけ合うことで音楽が完成していくという下りがありましたが、メンバーのみなさんは実際にどんな方々ですか?

モテギ うーんと、みんな好奇心旺盛ですね。面白そうなことに首を突っ込みたがる(笑)。

――と言うと?(笑)

モテギ 例えば、この前ビーチでライヴをやったんですけど、そのオファーの相談した時も、みんな一斉に「面白そう。出る出る!」っていうノリだったり(笑)。ライヴハウスでライヴをやるのも良いけど、面白い場所でやりたいねっていう話をしたり…やっぱり、心がお祭りバンドなんですよ(笑)。

――メンバーの皆さんはどういう音楽が好きな方々ですか?

モテギ さっき言っていた毛皮のマリーズは、きつねと安部も大好きですね。あと、N’夙川ボーイズとかも。

――音の感じとしてはパンク〜ニューウェイヴの響きもあるし、オルタナロックも…という感じはありますよね。

モテギ 私は日本のインディーズばっかり観に行っていて洋楽はあまり詳しくないんですけど、メンバーはたぶんそうだと思う。

――「レ・バー」はINUっぽさもあるし。

モテギ ああああ、それは嬉しい! 私も好きだけど、INUはきつねがすごく好きですね。

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