Interview | 画家 ささきなそ

Interview | 画家 ささきなそ

好きという気持ちや
違和感みたいなものを
無視したくない

−−では、本題に入りましょう。初の画集『I  wanna be your girlfriend』発刊、おめでとうございます。まずこちらの画集について教えてください。

なそ (今年の)7月6日に下北沢Threeで『I wanna be your girlfriend』というイベントを企画したんですけど、その時に私自身も出演者の感覚で参加したいって思ったんです。それで画集を作り始めました。

−−掲載された作品は画集のために描かれたものですか?

なそ そうです。7月6日に画集を出すぞと決めて、ガーッと描きました。イベントをどういう風にしていこうかと考えながら制作していって。

−−『I wanna be your girlfriend』、素晴らしい内容でした。こちらに掲載されているイラストは、自分の中のどういう部分を切り取ったものだと思います?

なそ 前半は原画を7インチサイズで描いているもので、音楽を聴いて浮かぶイメージ…景色みたいな感じかな? 中盤は「なりたい」という願望を描いたイラストが多いですね。音楽が流れていると、無限に描くことができます(笑)。

−−ラモーンズが出演したことでも有名な映画『ロックンロールハイスクール』の主人公リフ・ランデルのような、ロックンロール狂いの女の子がとても良かったです。ラモーンズteeを着ている女の子にたくさんのレコード、そこに色鮮やかなお花のイラストまであって。女の子に生まれて良かった!って叫びたくなるような世界がそこにあるという感じでした!

なそ わぁ、本当に嬉しいです(笑)。描いているのは、だいたい私のお部屋なんです。

−−こんなに自由に楽しく永遠に絵を描けたら人生楽しいだろうなって。そんな憧れを抱きながら作品を拝見していました。

なそ 私がロックンロールに対して思っていることですよ、それ!(笑)

−−なそさんの作品を目にしたり、こうしてお話を聞いていると、いろんな「好き」が重なり合って、その先に新たな「好き」が無限に生まれていくようなイメージを抱かずにはいられません。最高ですね。

なそ うわ、良かった〜!(笑) 私、好きなものしか描いていないし、自分のことしか描いていないので、本当に嬉しいです。

−−実際にイベント企画をしてみていかがでしたか?

なそ 楽しかった。それに尽きます! あとは、単純にイベントを企画したいと思っていたというより、私が今思っていることを見える形にして、人に何かを感じてもらえるようにしたい。そういうところからイベントを立ち上げたんです。絵の展示をやる以上に、自分が普段感じていることをそのまま体感してもらうのがベストだと思って。みなさんに私(=なそ)になってもらうというカタチが、私には一番しっくりきたんです。で、終えてみて、やっぱり本当に良かったって感じました。来場してくださった方のリアクションから伝わった!という実感がすごくあったし。

−−画集の最後のページに印刷されたフレーズが心に留めておきたくなるほとステキでした。読書好きでもある方かなという印象があるのですが、実際はどうですか?

なそ 小説や物語全般、あまり読めなくて、エッセイが好きなんですよ。著書の考えや思いが綴られた本をよく読みます。中島らもが一番好き。ロマンチックでいて、ちゃんと現実を痛いほどに見ているというところが良いですよね。

−−画集の中で掲載されているフレーズは普段から書きとめていたりするんですか?

なそ 思いついた時にメモをしています。例えば、世の中の嫌だなと感じた出来事があったとして、それを嫌な気持ちのまま外に出してしまうと刺々しくなってしまうから、出来るだけ「もっとこういうこともあるんじゃない?」っていう伝え方をしたいと思っています。

−−画集の中で一番こだわりのあるページは?と聞かれたらどう答えます?

なそ 表紙ですね!

−−表紙のイラストの破壊力ったら!

なそ (笑)この原画は12インチレコードサイズで描いた、というこだわりもあります。

−−表紙を描いた時のことを覚えていますか?

なそ イベントに合わせたレコードを作ろうと思って製作したもので、ラモーンズのレコードを流しながら描き上げました。ラモーンズと私が7月6日の出演者さんのライヴを観ているというイメージでね。下の方にピザもあるんですよ。ジョーイ・ラモーンのためにピザを置いています(笑)。

−−酷な質問だと思うんですけれど、ラモーンズではどの曲が好きですか?

なそ ええ〜っ! ああ….そうですねえ、やっぱり「Do You Remember Rock’n’Roll Radio?」かな?(笑) 

−−画集が発売された今、改めて伝えたいことなどありますか?

なそ 最後のページに掲載していることですね。別に何かを表現しないといけないというわけではないけれど、でもやっぱり自分の感覚…感覚っていう言葉が合っているのかどうかわからないけど、「好き」っていう気持ちや自分の中にある違和感みたいなものを無視しないで、自分の中でだけでもいいから全部消化できるカタチにするのは大事じゃない? 今一番そういうことを感じています。それが伝わったらいいなあって思っています。

INTERVIEWカテゴリの最新記事