Interview | THE PATS PATS

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「Heart Eyes」のカヴァーはマフスに捧げている

――PKPとのスプリット盤はどんな感じで作っていったの?

あきこ 今回の企画をアリーちゃんに伝えたら「お互いの曲をカヴァーし合うのはどう?」って提案してくれたんです。で、先にアリーちゃんが3曲をあげて送ってくれたんですけど、ウチらの「Sing and Pretty」カヴァーがすごく良くて。アリーが日本語で歌っているところとか、特に。

――そこ、すごくグッっときた。サビの歌とコーラスのハモリも良くて。

あきこ ですよね!!! アリーの「Sing and Pretty」、めっちゃいい。ぱっつぱっつはそのトラックを聴いてから準備を始めたんですけど、PKPの曲ってどれも超シンプルで独自のアンレンジをしようとしても案外難しいんです。いろいろ悩んだ挙句、みんなの一番好きな曲をやろうということになり(笑)、耕太郎くん(Dr)を含めてメンバー3人全員が大好きな「Heart Eyes」に決めて。やっぱり「Heart Eyes」が一番エモいですよね。昔の恋人かな?…その人は今も自分の中では存在しているみたいなことを歌っていて、歌詞も切なくて。で、「Heart Eyes」のアレンジはいろいろ考えた結果、普通にストレートにやるしかないよねという意見でまとまって。

――それがびっくりするくらい良かったね!

あきこ はい、いいんですよね!(笑) 実は、「Heart Eyes」はそれまでやっていたバージョンで録音するはずだったんですけど、レコーディング直前に今のバージョンにしたんですよ。というのは、マフスのキム・シャタック(Vo/G)が亡くなったのがレコーディングのちょうど1週間前だったんです。キムは私にとってすごく大きい存在で、私だけじゃなく、みどりちゃんや耕太郎くんもマフス大好きだから同じなんですけど。だからニュースを知った当日は朝から泣いちゃって…アユミさんも相当ショックでしたよね。

――私も泣いてた…。

あきこ ダニエル・ジョンストンも好きだけど、キム・シャタックって自分にとってはヒーローだし、めちゃくちゃ影響を受けているんですよ。ワンピース着てライヴしているのもキムの影響だし、リスペクトの表れだし。

――そうだったんだ!

あきこ はい。レトロワンピにマーチン(のブーツ)でライヴするスタイルなのはキムへの憧れの表れだし、曲のアレンジにも影響を受けているし。だから「Heart Eyes」のカヴァーはマフスに捧げる気持ちで作ろうって。そんな意気込みで完成させたんですよ。マフスを聴きながらアレンジをやっていました(笑)。

――泣ける(涙)。

あきこ みどりちゃんに打ち明けたら、「そうだと思ったよ」って言われたくらい、ベースの感じやサビの前でブレイクを入れる感じとか、ちょっとマフスっぽいのかもしれない…そうらしいですよ(笑)。キムが亡くなったことで「Heart Eyes」があの形になりました。結果的にエモい仕上がりになったと思う。

――エモいし、直球だし。

あきこ そう! 直球で、原曲とも違う感じの仕上がりになってる。

――こういう言い方もあれなのだけど、オリジナルをかなり超えた良い仕上がりになっているんじゃないかと…。

あきこ 嬉しい! 「Heart Eyes」の歌詞はと青春パンクじゃないけど、切ないニュアンスがあるし、「その気持ち、わかるわ…(泣)」みたいな感じだからエモい感じにしたいという気持ちは強くあって。そしたら結果的に自分の想像を超えるエモさになったという(笑)。いろんな思いが入っています。

――直球だから余計に心に突き刺さるし(涙)。

あきこ 本当に直球ですね。あと、今回レコーディングのエンジニアを担当してくれたcarpoolの嵯峨山(諒)さん(G/Vo)が、「Heart Eyes」のギターを全部弾いてくれているのでそれも大きく影響しているかな。最初はキーボードでリフを入れようとしていだけど、最後までしっくり来なくて。それが締切直前に嵯峨山さんが入れてくれたギターがバシッとハマったんですよ。嬉しかったですね。そこから「一緒にカリフォルニアでライヴしましょう!」っていう流れになって、カリフォルニアでも4人編成でライヴをやって。この曲は携わった人全員の力なくして完成はしなかったと思う。だから、みんなの気持ちと思いがギュッと詰まった1曲になっています。

――「Heart Eyes」ではあっこちゃんの歌がただならぬオーラを放っていて、凄まじく良かったね。それが、念願のカリフォルニアツアーに向かっていく中でのレコーディングであること、朋友のPKPアリーちゃんの曲を歌うということが、ここまであっこちゃんのヴォーカルのポテンシャルを引き上げたんだと思っていたけど、キムのお話を聞いてさらに納得です。

あきこ 本当ですか! 嬉しい…!

――単純に良いというだけじゃなく、泣きの1曲ですよ。いや、もう一度言うけど、これは原曲を超えてる!

あきこ あはは! みんなからも言われました。カリフォルニアへ行って、ジーナたちからも、アリー本人にも、「本当にいいね!」って。私の失恋の思いを含めて、これまで生きてきた中で抱いてきたいろんな感情を、この曲に詰め込められたかなって思います。あと、2番の歌詞で「私のお金を全部あなたにあげたかった」とかアリーが歌っているんですけど、「その恋愛観、わかる!」とか、そういう気持ちも(笑)。

――ただ、歌が上手というだけじゃない良さ、というのはそういうことなのだね。ライヴをやった時のリアクションっていうのも良かったでしょう?

あきこ そうですね。「Heart Eyes」、あと「It’s my melody」と「Every day」が結構人気だったかな。嵯峨山さんにもギター弾いてもらって、すごく良い感じでした。

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