Interview | Cyber Cherry

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ヴィジョンありきの音楽

⎯⎯そこから初めての曲作り。最初からスムーズでしたか?

そうですね。例えばBikini Killの「Rebel Girl」だって、シンプルなフレーズであれだけ人の価値観を変えるような曲になる。だったら、肩の力を抜いてどんどん作ってみたらいいんじゃんって。「好きにやったれ」って覚悟ができてから、わりとスムーズにやれるようになったかな。その突破口をThe Gardenが作ってくれたようなものなので、勝手に感謝しています(笑)。

⎯⎯最初にできた曲というと?

『Fake California Forcefield』に入っている「Seven years」ですね。これは『ディナー・イン・アメリカ』という映画の影響をそのまま反映した曲。というか、劇中に曲を作るシーンがあるんですけど、それを観ながら作ったものなんですよ。それなのに全然違う仕上がりになっています(笑)。

⎯⎯(笑)いつもはどんな風に曲作りをしているんですか? 

ギターでも作るんですけど、下手なんですよ(笑)。なので、コードをひとつずつ弾いて録音したものを切り貼りする場合もあるし、全部打ち込みの場合もあります。

⎯⎯いくつかのコードと情熱があればロックできる。そんなマインドを感じますね。

そうなんですよ! パンクなんですよ! で、さっきBikin Killで思い出したんですけど、私、大学時代に(Bikini Killの)キャスリーン・ハンナについて研究レポートを書いたことがあるんです。

⎯⎯それは興味深いですね。

その時に、キャスリーンは元々ポエトリーリーディングのパフォーマンスをやっていたのを音楽として昇華させてバンドをやっていたことを知ったんです。その感じが自分と似ていると思って。

⎯⎯どういうことですか?

私も音楽を始める前に演劇や小説の執筆を趣味でやっていたんです。で、音楽を作る元々の土台になっているところがあるんですよ。

⎯⎯なるほど。演劇、小説、その前はバレエ。ご自身は幼少の頃からずっと表現活動をしてきているんですよね。

はい。小さい頃は夢中でやっていたから特に意識したことはなかったんですけど、大人になるにつれ、結局自分は視覚的なイメージの表現に興味があるんだということに気づいて。

⎯⎯ライヴのパフォーマンスにもバレエっぽい動きが取り入れられていたり、「The Happening」のMVでは1曲丸ごと即興ダンスが収められていたりもしていますね。

自分の中で描いているイメージをバレエやダンスとして表現してきていて、今も音楽と並行してやっているんですけど、それと同じ感覚で音楽を作っているというか。

⎯ヴィジョンありきの音楽だということですね。

そうですね。マイケミの話に戻るんですけど、マイケミのジェラルドも「脳内にある視覚的イメージを具現化したくて音楽をやっている」らしくて。私と同じ感覚を持っているんだと知った時に嬉しくなりましたね。で、自分もその感じで音楽をやればいいんだって思った瞬間でした。

⎯⎯なるほど。

それはThe Gardenも同じ。あの人たちもヴィジョンありきなんですよ。映画や日本のアニメ好きで、そういうのをバンドの映像に取り込んだり、自分たちのイメージする映像をMVとして表現するだけでなく、そのMVで本人も役者顔負けの演技をしたりしているんですけど。音楽のジャンルは違ってもやりたいことのスタイルは通じているんじゃないかって。

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