Interview | Cyber Cherry

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ディストピアの中の仁義

⎯⎯ところで、今日お話する中で何度かアニメという言葉を聞いたような。結構アニメ好きですか?

大好きです! 『HUNTER x HUNTER』とかもう大好きで。小さい頃から『ちゃお』『リボン』『なかよし』を満遍なく読んでいた漫画好きです。大人になってからも変わっていないですね。今でも『AKIRA』とかも好きですし。

⎯⎯『AKIRA』、いいですね。

それもマイケミきっかけで知ったんですよ(笑)。マイケミのジェラルドが漫画家で、日本の文化も、『AKIRA』や日本のホラー映画も好きらしくて。あ、The Gardenも同じように映画好きで、日本のアニメ好き。ドキュメンタリー映像に『幽☆遊☆白書』が出てくるくらいなんですよ。で、これは私の知っている情報の単なる繋ぎ合わせでしかないんですけど、ハイパーポップの作り手って日本の文化やアニメが好きな人が多い印象なんですよ。

⎯⎯それこそ、グライムスがそうですよね? 梅図かずおや丸尾末広を思い出させる日本のアニメ風のアルバムジャケはインパクトがありました。

グライムス、大好きです! グライムスも本当にそうで、ああいうアニメや映画に惹かれるという感覚がみんな一緒なんじゃないかなって。サウンドとイメージが単純にハマるんですよ。私もグライムスを聴いているだけでアニメのワンシーンが脳内に浮かんでくるし、ハイパーポップにハードコアを合わせたようなブレイクコアとアニメの『チェンソーマン』を合わせたビデオを観ると「わかるー!」ってなりますもん(笑)。そういうのも全部繋がっているんでしょうね。

⎯⎯カオスですねえ(笑)。

カオス、、、そう言われるのは本当に嬉しい(笑)。

⎯⎯視覚的なイメージありきで音楽が生まれるということだったのですが、そのサウンドには現実と夢、または過去や未来といったもうひとつの世界の混在する感覚がありますよね。

そうなんですよ(笑)。

⎯⎯今お話に出た『AKIRA』で言うなら、核爆発後のネオ東京を生きる金田たちが東京のあった時代を思い出しているようなイメージ? 「99」のリリックMVを観てそんなことを感じたんですよ。

ネタバラシをすると、その通りなんです(笑)。退廃的なもの、ディストピア(反理想郷)ものが大好物で(笑)。ただ、「99」はEP 『Hoshi’s Radio Experiment』収録曲の中でもCyber Cherryを始める前に作った曲ではあるんですけど。

⎯⎯製作時期は違うとはいえ、『Hoshi’s Radio Experiment』は一貫したコンセプトで作られているんですよね?

そうですね。少しだけ説明するとですね、、、舞台は私の想像の中にあるフェイクのカリフォルニア。世界の終わりに自分だけ生き残ってしまったという設定なんですよ。で、昔に作ったミックステープを拾って再生している様子を曲として表現していて。それで「The End of the World Weather News」に昔の天気予報の音声が流れているんです。EPではそんな風に過去の破片を拾い集めて再構築しているという感じですね。ただ、世界の終わりを舞台にしていても、テーマは人。そこは大事にしていますね。そういう視点でCyber Cherryを聴いてもらっても面白いんじゃないかなって。

⎯⎯世界の終わりが舞台でも、人間臭さが強烈にありますね。

タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』とか、完全にヴァイオレンス映画で血が飛び散ったりするような内容なのになかなか人が死なないとか、死んでしまう前にやたら喋るとか、そういう人間臭さが好きですね(笑)。タランティーノ映画のサントラにも同じ感じがありますよね。ハードコアからジャズまで。人のピュアさを感じさせるような曲が多いなって。やっぱり人情で、仁義なんですよ(笑)。

⎯⎯あはは、確かにタランティーノ映画もまたカオスですもんね。

カオスですね(笑)。ああいう感覚を曲でやりたいなっていうモードがあるんですよ。矛盾したものをぶつけ合うのも凄く好きで。

⎯⎯矛盾したものをぶつけ合う? 不気味さすら感じるカリフォルニアの風景が描かれた『Fake California Forcefield』のアートワークがまさにそうでは?

はい。幻想的で混沌としたイメージであのジャケを作りました。カリフォルニアと言えば、青い空にヤシの木のイメージなんですけど、住んだことのない私からすると、発熱した時に見る奇妙な夢のように見えてしまうんですよね(笑)。

⎯⎯また面白いストーリーがありそうですね。またの機会にお聞きできたらと思います。これからの予定について教えてもらえますか?

今ちょうど次作について話しているところなんですよ。『Fake California Forcefield』は初期のデモトラック集のような作りだったので、正式な1stアルバムをリリースしようと思っています。人に伝わる曲を作りたいし、これまで恥ずかしいという理由でやってこなかった日本語の歌詞にも挑戦するつもり。どんどん自分を剥き出しにしていこうというモチベーションでやっているので、今後のCyber Cherryに期待していてください!

⎯⎯初めて出演いただくCHICKS RIOT!も楽しみにしています。余談だけど、カラオケでジョーン・ジェットを歌うんですって?

歌います。ランナウェイズも。中でも、「チェリー・ボム」をよく歌うんですよ(笑)。一度遊びでジョーン・ジェットの「I Love Playin’ With Fire」のパロディみたいな曲を作ったこともあるんですけど、ひょっとしたら次のアルバムにも入るかもしれません、、、!

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▽インタビュー後の1枚

Photo Ayumi Tsubouchi

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