Interview | Cyber Cherry

Interview | Cyber Cherry

Cyber Cherry

サイバーパンクとポップが交錯するカオスな宇宙。突如として現われた宅録アーティスト、Cyber Cherryは、インディシーンで今新しい個性をキラキラと放っている。手探りで始めたという音楽のキャリアも3年目に突入し、2023年には超初期音源を集めたCD『Fake California Forcefield』をリリース。近未来的な電子音とノスタルジックなメロディが生む幻想的なトリップは、現実と夢の境界を心地よく揺さぶる。どこかミステリアスなオーラ漂うCyber Cherryに、ライヴを重ねながら築いている独自のバイブスや音楽への思い、多彩なインスピレーションの源について聞く。

『Fake California Forcefield』のCDはVAMP! SHOPで好評販売中。ぜひチェックを。

Interview / Text Ayumi Tsubouchi

パンクなんですよ!

⎯⎯Cyber Cherryとして音楽を始めたきっかけは、ハイパーポップが入り口になるんですか?

そうですね。The Garden(ザ・ガーデン)という双子のバンドが大好きで、彼らを通してハイパーポップというジャンルを知ったんですよ。The Gardenがハイパーポップから影響を受けていて、どこかで紹介しているのを聴いていいなって。初期音源は特にその感じが凄く出ていますね。おもちゃ箱みたいにいろんなジャンルがごっちゃに入っていて、それが確立されていてカッコいいってすっかりハマっちゃって。

⎯⎯それ以前はどういう音楽を聴いていたんですか?

3歳から高校までずっとバレエに打ち込んでいたので、音楽といっても一般的なポップスばかり。それがテレビと映画の影響から突然パンクロックに目覚めて、二十歳でマイ・ケミカル・ロマンス(以下マイケミ)にハマったんですよ(笑)。エモ系が好きというより、シンガーのジェラルド(ウェイ/Vo)という人が好きで。で、ジェラルドのインタビューを読み漁っては文面に出てくるバンドを聴くようになって。スミス、ブラー、ブリットポップからルー・リード、イギー・ポップ、ブロンディやグランジ全般まで。1年くらいかけてロックの歴史を遡るように聴いていました。

⎯⎯案外パンクなんですね。Cyber Cherryはミュージシャンとして初めてのキャリアになりますか?

そうです。ただ、最初から今のようにひとりでやろうとしていたわけではなかったんですよ。最初にハマったバンドがマイケミだったのでずっとバンド形態にこだわっていて、でもなかなか縁がなくて。そんな時に(フランスの音楽ストリーミングサービスの番組 “アートコンサート”で公開されていた)The Gardenのライヴ動画を観てすっかり感化されたんです。それで、ひとりで始めようって。

⎯⎯え、どういうこと?(笑)

(笑)サーカス小屋みたいなセットの中で演奏するという企画モノだったんですけど、メンバーはピエロの格好をしているし、音楽のスタイルはクルクル変わるし、演奏はラフで衝動的だし。でも強烈に惹きつけられるものがあって。ああ、何の型にもハマらないってこういうことじゃんって。衝撃を受けたんですよ。パンクロックってそうじゃんって。メンバーがいないと音楽ができないと思い込んで、悶々としていた気持ちが軽く弾け飛びましたね。音楽をやりたいならひとりでやればいいじゃんって。ひとりでもできるじゃんって。もう好きにやったれ!って(笑)。

⎯⎯いいですねえ!

で、Logic Proを買ってすぐに音楽製作を始めました(笑)。それまで趣味でギターをやっていたし、小さい頃にピアノをやっていたから結構すんなり製作に入れたんですよ。

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